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屋良っティーニの教えある記『セン ケレー』

11・03・11
 ブラジルに暮らす日系の方は、戦前からブラジルに開拓者として入植し、それはそれは、大変な思いをされ、今の日系社会を作り上げてきたんです。

 その日系の方たちからよくこんな話を耳にしました。
「ブラジルで車作ったら、ネジがあまりよる」

 なんとも、いい加減なブラジルのシステムを言い表している表現。
実際、そんなことは無いとは思う!イヤ、思いたい!?

 「あまっちゃった〜 でも、しょうがないじゃん!!」的な、よく言えばおおらかな国民性を表しているようで、例えば、サッカーの試合であれば、終わるころには両チームとも11人揃ってることが少なく、退場者が出るのは当たり前。しょうがないじゃん!! でも、勝っちゃう!?みたいな!!

 これは、ブラジルに行く前に日本でサッカーをやってた時、自分がプレーしていて退場者が出た経験もなかったし、その当時たまにやっていた国内テレビ中継の天皇杯やJSLでもめったに見かけるシーンではなかったんです。

 その当時、審判から「たいじょ〜〜」なんてレッドカード突き付けられる場面を見ようものならホントに特別なモノを目撃した様な気分でしたよね。

 でも、ブラジルで、実際に退場者が出てそんな場面に出くわしたとき、とりあえずはジェスチャーたっぷりで抗議はしてみるものの、ダメに決まってるので、「なんで〜 ゆるして〜」みたいな顔はするけど、ダメだとわかると、シャツ脱いで意外とあっさりピッチを去る選手をよく見かけましたね。ピッチを去る時、私に向かって困り顔でウインクしてったヤツを見た時は「慣れてんな〜 かっこいー」なんて不思議な気分になっちゃいましたけどね。

 それでも、人数が少なくてもやっちゃうし、FWの選手がGKになって本職よりスゴイとこも見たことあるし、おまけに、それで勝っちゃうし。。。。

 ブラジル人の『しょうがね〜だろ!! それでやる!! やらなきゃ!!』って開き直った時のメンタリティーは相当なものなのです!

 僕のサッカースクールでも最初の頃、来た人数を分けてミニゲームやるとき、自分のチームが人数少ないと「え〜エ ずる〜い!!」みたいになってましたけど、今では、気にしないもんね。

 逆に、使えなさそ〜なヤツは「い〜るか いらん〜か!?」じゃんけんしてる時ありますよ。そんときはさすがに、残酷だとは思いますけど、見ぬふりしてます。。。。
「お〜こわ。。。」

 セン ケレー(望んでそうなったんじゃねーよ〜)ってなった時のブラジレイロ。面白いですよ。


◆筆者プロフィル
屋良 充紀(やら みつとし)
現役時代はブラジル、エクアドル、コロンビアでプレー、コロンビアではコーチも兼任。
帰国後、横浜FC泉Jrユースの監督として7年間指導。その後『JFAアジア貢献プロジェクト』で中東のシリアで未来のシリア代表選手を育成するべく、SFA(シリアサッカー協会)フットボールアカデミーを開校しヘッドコーチを務めた。アラビア語で『サッカー指導指針』をつくり、シリアは勿論のこと海を越えてアフリカ・スーダンでも高い評価を得ている。現在は横浜市でブラジルのストリートサッカーをヒントに遊び心をくすぐるサッカースクール、『エスコリーニャFC』に力を注いでいる。
 
ロベルト・屋良っティーニ