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弊紙発刊の書籍が好評につき、販売店舗拡大中!【一部抜粋して紹介】

19・11・11
 上写真/コーチャンフォー新川通り店で、目立つコーナーに平積み販売された「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」


 2017年、Amazon初登場でカテゴリー別4位、その後口コミで広まり、大型書店「コーチャンフォー」でも取り扱いが開始された書籍「100万円も借りられなかったNPOが、街クラブ日本一の施設を造った奇跡の物語」(出版元:北のサッカーアンビシャス、税込1,080円)が、全国のサッカー関係者から注目を集め、絶賛発売中だ。

 現在、道内でも問い合わせが増え、コーチャンフォー新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店と、取り扱い店舗が拡大中(各店舗、売り切れの場合はご容赦を。その他の店舗では取り寄せ販売も可)。

 本紙では、本の中身を少しずつではあるが紹介している。24回目は第二十九の巻「地域と共に歩むスポーツファミリーとして」を抜粋し、紹介したい。


【以下書籍より一部抜粋】

第二十九の巻「地域と共に歩むスポーツファミリーとして」

 「石の上にも三年、次は桃栗三年柿八年、柚子は九年でなり掛かる、それでもだめなら鶴は千年、亀は万年、あっ長すぎるか・・・」。成果の見えない時、柴田が呪文のように特命チームにかけていた言葉である。説得力はさておき、資金が潤沢でもなく、自分たちの規模を超える無謀とも思われたプロジェクトは、そうそう簡単に結果が出るものではない。そもそも簡単に成果が出るのなら、既に他の誰かが成し得ているのだ。

 多少話は変わるが、結婚式のスピーチなどで「人生には三つの坂がある。ひとつは上り坂、次に下り坂、そして“まさか“です」が定番ではないだろうか。

 これを柴田がサッカー関係者に向かって話す時に使っていたフレーズは「人生には三つの坂があるというのはよく聞きますが、私は四つの坂があると思っています。上り坂、下り坂、そしてまさかの事態があっても、最後は“まーサッカー“があるから人生なんとかなるさの精神です」。簡単に言うとおじさんのダジャレつながりなのだが(坂→まさか→まーサッカー。説明したところで面白くはない)、話の真意は、「私はサッカーにかかわって40年になりましたが、サッカーでなくとも何かひとつのことに人一倍情熱を燃やすことが出来れば、困難があっても(後ろ向きにならずに、落ち込み過ぎずに)、前向きにチャレンジし続けることが出来る!」。

 特命チームにも常々言っていたのは「もし自分がどうしてもダメで倒れることにでもなったら、俺は前向きに倒れてやる。それでも後ろに倒れそうになったら、背中から押して前に倒せ!」。雰囲気としては理解出来る。「でも結果うつ伏せなら苦しいか、じゃあ仰向けに、いやいやトーテムポールみたいに立てるように周りから支えてくれれば良いんじゃない?」。最後には「施設関連で大きな借金となって首が回らないほど、首が太くなっちゃったから、一切後ろ(過去)を振り返れないから前(未来)だけ見るわ。わっはっはー」と、たいして笑えないオチもつける(これは単純に食べすぎで太っただけだろう)。周りは迷惑かもしれないが、リーダーがプレッシャーに押しつぶされ、暗く、後ろ向きになるよりは良い。

 クラブハウスは1級建築士がうなるアイデアの塊。無理だと思われていた窮地の状態から一気に逆転、多目的屋内交流施設も造り上げた。それは資金的なものを含め数々の制約からひねり出したものだった。ドリームプロジェクト自体も手元に大きな資金もない中、様々な無理難題を乗り越えて実現させた。むしろ様々な制約があるからこそ知恵と工夫と経験が生きる。避けようのない条件や難題をハンディとは思わずに、逆転の発想でまさに逆手にとる(むしろ長所である)ような前向きな姿勢で取り組みたい。

 もし、あなたが若手で何かのプロジェクトを任されるようになったら、成果が挙がるまでの期間、簡単にはあきらめず、前向きな姿勢を忘れずに、石にしがみついてでも頑張って欲しい。小さくとも(もちろん大きくても)その成果とプロセスをきっと誰かは見てくれているはずだ。

 子どもたちが読んでくれているなら、ひとつのポジション、キャプテンや役割(学校の○○係でも、家のお手伝いでも)、自分の目標として捉えてみても良いだろう。すぐに思ったような成果が出なくても、そこまでの努力は必ず成長の糧になる。逆に言えば、目標に向かって最大限の努力が出来なければ、成果が出なかった時に、努力が足りなかったのか、その時の力が足りなかったのか、問題点や課題も分からないことになる。

 何かスポーツをやっているなら、前向きな気持ちでスポーツを楽しみ、成功体験だけではなく、失敗体験も糧としながら、勝負の面白さ、達成感、上達することの喜びを感じながら、フェアネス(公平さ)、チームワーク、コミュニケーション、ルールやマナーなどを学んで、心と体、そして人間的にも大きく成長してほしいと強く願っている。子ども時代に成功体験や失敗体験を心と体で感じられることは将来への貴重な財産だ。成功しても満足せず、失敗しても落ち込み過ぎずに、“継続は力なり”の気持ちで、何事も簡単にはあきらめず取り組み続ける力を身に付けて欲しい。

 これから地域スポーツ活動の立ち上げを志す方がいれば、最初から大きな規模を目指すのではなく、まずはスタートの第一歩を踏み出してほしい。確かに“誰でも”は出来ないかもしれないが、“誰か”が行動しなければ、現状は変わらない。1人が動き出して周りを巻き込むことが出来れば、変化を起こすことは出来る。自身が絶対的なリーダー(トップダウン的なリーダー)とはならなくとも、各々の役割や責任の分担をじっくり話し合い、ボトムアップ的に組織を作っていくことも地域のスポーツコミュニティではイメージしやすいのではないか。これが目的を共にするチームとしてまとまれば、さらに大きな力となる。

 事業体であれ、どのようなコミュニティであれ、誰しもがすべてを納得することは難しい。何かを目標として事業を進めようにも、必ず批判や反対意見は出る。もちろん改善に役立つような貴重な反対意見は尊重すべきだが、自らが安全地帯にいたいだけ、責任を負いたくないだけの批判は事業や組織そのものを停滞させる。難しいプロジェクトこそ、実現出来る可能性は少ないのだから、批判的な立ち位置にいれば予想が当たる確率が高いのは明白で、自分は安全に思えるのだろう。

 物事を進めるにあたって、追い風も、向かい風もあるだろう。それでも納得の幅や共感の輪を広げる努力を怠らず、粘り強く続けることが出来れば、時間は掛かってもいずれは動きだすかもしれない。変化をしない=今は安全であるかもしれないが、周りや時間軸が進んでいればその瞬間、停滞から衰退に変わっていることも、気づかなければならない。

 既に地域で活動されている各スポーツ団体の方々は、目標や特徴、理念があり、それを目指し、達成するためにもクラブ(団体、チーム)が存続し続けることが大前提であろう。全国各地で多くの総合型地域スポーツクラブは、様々な制約や限られた予算もある中、スポーツ振興くじ助成金などを活用し、発展を遂げている団体も多い。言うまでもないが助成金だけに頼りきり、助成金が導入されなくなった後に運営が成り立たなくなってしまっては、本末転倒である。

 厳しいことを言うようだが、それぞれのクラブの素晴らしい特徴や崇高な理念も、クラブ(団体)そのものが存在しなくなれば、いずれ忘れ去られ、クラブ員たちの“ホーム”も存在自体消滅する。逆に言えば、どんな困難があってもクラブが存続し続けることで、その特徴や、目標、理念などが浸透し、地域に必要とされる存在になっているのかもしれない。

 次の項でも説明するが、スポーツ関連ビジネスはこれからの成長分野でもあり様々な業態からの参入も続いている。その中、ボランティアでかかわっているであろう多くの地域スポーツ関係者には、スポーツをビジネスと捉えることには抵抗はあるかもしれないが、団体やクラブの安定的な運営がなければ、継続的な活動は出来ない。NPO関係者は、もちろんもうけるビジネス(営利事業)ではなく、非営利活動を継続的に行うための安定的な予算の確保と捉え、事業の拡充にトライしてもらいたい。それが地域スポーツの環境の整備、向上につながり、子どもたちからシニア層までスポーツに勤しむ環境が広がっていくのではないだろうか―。


―この続きにご興味のある方は、ぜひ本書でお楽しみください。店頭でのご購入はコーチャンフォー(新川通り店、ミュンヘン大橋店、釧路店、北見店で取り扱い中。他店舗はお問い合わせください)か、Amazonでも送料無料で販売しております(Amazonサイト内で、「SSS札幌」、もしくは「SSSサッカー」で検索するとトップページに表示されます)。

 あなたも奇跡と呼ばれたプロジェクトの証人となる!?
編集部